ジョンキエール夫人は、デザニョー夫人をなだめる必要があった。
「慌てなくていいのよ。まだ急ぐことはないわ。患者さんたちが到着するのを待ちましょう……。それにしても、この部屋はあまり好きではないの。空気の入れ替えが難しいわね。去年は、一階のサント・ロザリーの間を担当していたのだけれど……。まあ、どうにかやっていくしかないわね。」
次々と病院付きの貴婦人たちが到着し、まるで働き者の蜂があふれ出したようだった。皆、早く仕事に取りかかりたくて仕方がなかった。この熱意が、かえって混乱を招く一因にもなっていた。なぜなら、ここに集まった看護婦たちは貴族やブルジョワ階級の女性たちであり、奉仕への熱意には多少の虚栄心も交じっていたからだ。その数は200人を超えていた。
「ノートル=ダム・ド・サリュの病院付きの奉仕団」に加わるには、それぞれが寄付をしなければならなかった。そのため、寄付金が減ることを恐れ、誰一人として入団を断られることはなかった。その結果、年々その数は増えていった。しかし、幸いなことに、中には赤い布製の十字章を胸に付けるだけで満足し、ルルドに到着すると観光に出かけてしまう者もいた。
だが、献身的に働く者たちは、本当に称賛に値した。彼女たちは、五日間という過酷な奉仕活動に身を投じ、夜は二時間ほどしか眠れず、目にするのは耐え難い悲惨な光景ばかりだった。彼女たちは死にゆく者たちを看取り、悪臭を放つ傷を手当てし、汚物の入った桶や壺を空にし、よだれを垂らした患者の衣服を替え、衰弱した病人たちの体を寝返らせる――そんな過酷で圧倒されるような作業を、まったく慣れない手つきでこなさねばならなかった。結果、彼女たちは奉仕活動を終える頃には、全身が痛みでこわばり、消耗しきっていた。それでも、目は熱に浮かされるように輝き、慈善の喜びに燃えていた。
「それで、ヴォルマール夫人は?」デザニョー夫人が尋ねた。「ここで会えると思っていたのだけれど。」
ジョンキエール夫人は、静かに話を切り上げた。まるで事情を知っていて、彼女の個人的な事情には触れないよう配慮したかのように。優しさゆえの沈黙だった。
「彼女は体が弱いの。ホテルで休んでいるわ。そっとしておいてあげましょう。」
そう言うと、彼女は女性たちにベッドを割り振り、それぞれ2つずつ担当を与えた。そして、皆が病院の設備を確認するために動き回った。管理事務所、リネン室、厨房がどこにあるのかを把握しようとしていたのだ。
「それで、薬局はどこ?」と、デザニョー夫人がさらに尋ねた。
しかし、薬局など存在しなかった。そもそも、医療スタッフすらいなかった。なぜなら、この病院には医学的に見放された者たちが集まっていたからだ。彼女たちは、人間の力ではどうにもならない病を抱え、神にすがるしかない患者ばかりだった。したがって、巡礼の期間中は、一切の治療が中断されるのが当然のこととされていた。
もし誰かが臨終の時を迎えたら、聖体拝領の儀式を受けるだけだった。唯一、巡礼専用の白い列車に同行してきた若い医師が、簡単な応急処置セットを持参しており、苦しみを和らげる程度の手助けをすることはできた。だが、それも、患者が発作を起こし、医師を呼ぶよう要求した場合に限られた。
ちょうどそのとき、ヒヤシンス修道女がフェラン先生を連れてきた。サン=フランソワ修道女が彼をリネン室の隣にある小部屋に留めており、彼はそこを自らの待機場所にしようと考えていた。
「夫人」彼はジョンキエール夫人に向かって言った。「私は完全にご命令に従います。必要があれば、ただお呼びください。」
しかし、彼女はほとんど耳を貸さず、管理担当の若い司祭と口論していた。病室全体に夜用便器が7つしかなかったのだ。
「ええ、確かに、先生、もし鎮静剤が必要になれば……」
だが彼女は言い終えぬうちに、再び話を中断し、議論を続けた。
「とにかく、神父様、もう4つか5つは何とか工面してくださいませんか? どうやって対処しろというのです? すでにこれだけでも大変なのに!」
フェラン先生はそのやり取りを聞き、周囲を見回しながら、昨日から身を置いているこの異世界のような環境に圧倒されていた。信仰を持たぬ彼が、ただの奉仕心からここに来たものの、目の当たりにする混乱と苦しみに驚愕せざるを得なかった。
何よりも、彼の若き医師としての考えは完全に覆されていた。ここでは衛生管理など全く顧みられず、医学の基本的な指針すら軽視されていたのだ。すべては天の御心に委ねられ、もし神が望めば、自然の法則すら覆す奇跡が起こると確信されている。その中で、なぜ形式的にでも医師を同行させるのか? 彼は自分がまるで役に立たず、滑稽な存在に思えて、羞恥の念を抱きながら小部屋へ戻った。
「とにかく、アヘンの錠剤を準備してください。」
彼をリネン室まで伴ってきたヒヤシンス修道女が言った。「求められることになりますよ。心配な病人が何人かいますから。」
彼女は大きな青い瞳で彼を見つめた。その瞳には常に神聖な微笑みが宿り、限りなく優しく、穏やかだった。忙しく動き回るうちに、彼女の肌には活気に満ちた赤みが差していた。その姿は、性を超越した天使のようでもあり、同志のようでもあり、女性らしさをも感じさせる、温かい親しみのこもったものであった。
「それから、もし病人を抱き起こしたり寝かせたりするのに手がいる時は、助けてもらえますよね?」
彼女が気軽に尋ねた。
その瞬間、フェラン先生はここに来てよかったと初めて感じた。彼女の役に立てることが嬉しかった。彼は、かつて死の淵にあった自分を彼女が看病してくれた日のことを思い出した。彼女の手は慈愛に満ち、兄弟のように優しく、そして天使のように笑みを浮かべていたのだ。
「もちろんです、修道女様! いくらでもお手伝いします! 私はあなたのためにここにいます。あなたに恩を返せることが、どれほど嬉しいか……。」
すると、彼女はそっと唇に指を当てた。
「そんなことを言わないで。」
彼女は微笑みながら静かにそう言った。彼に借りはないのだ。彼女はただ、苦しむ者と貧しき者に仕えるだけなのだから。
虚栄心まじりで奉仕活動に参加するご婦人たち、寄付金が欲しい教会、不衛生な病院、なんとも欺瞞に満ちた状況をゾラは描いていますね。「ジェルミナール」では、慰問活動をする鉱山主の娘を長く炭鉱で働き心身を病んだ老人が縊り殺すシーンがあります。私はこのシーンを読んで、ゾクッとし、また、よくやったじいさん!と快哉を叫びたい気持ちになりました。ゾラの社会的欺瞞に対する強い怒りを感じ、それに共感したからです。
返信削除ゾラの筆致には、社会の欺瞞に対する容赦のない怒りがありますよね。『ルルド』でも、信仰の名のもとに展開される自己満足的な善行や、教会と巡礼ビジネスが絡む利権構造を、実に冷徹な目で描いています。ただの信仰批判ではなく、そこに生きる人々の心理まで深く掘り下げているのがゾラらしいところです。
削除『ジェルミナール』のあの場面、強烈でしたね。炭鉱で苦しみ抜いた末に、飢えと絶望に苛まれた老人が、慰問のために訪れた鉱山主の娘を絞め殺す――これは単なる暴力ではなく、抑圧され続けた階級が、自らの運命を支配する者に対して最後の「拒絶」を突きつけた瞬間ですよね。ゾラは決してこの行為を美化しているわけではないけれど、それでもその暴発に「必然性」があることを描き出している。だからこそ、読者も「よくやった!」とすら思ってしまう。この辺りの心理描写、ゾラは本当に巧みです。
『ルルド』にも、このような「欺瞞に満ちた善意」と、それに対する「静かな拒絶」の構図が出てくるのかもしれませんね。フェラン先生の「滑稽さ」は、まさにその欺瞞を象徴するような存在かもしれません。