2025年5月3日土曜日

ルルド 第123回

  しかし、ピエールは耳を貸さず、その光景の壮大さに打たれていた。自分が高みに登るにつれてますます広がっていく群衆、この谷間の美しさ、眼下に深くえぐれ、果てしなく広がっていく谷、豪奢な山々の地平線を繰り広げるその眺めに、彼は震えるような感嘆で胸を満たされていた。 彼の動揺はさらに大きくなり、マリーの視線を探し求め、広い身振りでこの広大な円形劇場を示した。

 だが、その身振りは彼女を誤解させた。霊的高揚の極みにあった彼女には、彼の指し示す光景の物質的な側面が見えなかったのだ。彼女は、聖母が二人に授けてくれたこの驚くべき恵みの証人として、彼が大地に訴えているのだと思い込んだ。なぜなら彼女には、奇跡に彼もまたあずかっているように思われたからだ。彼女を立ち上がらせ、癒されたその一撃の恵みの中で、すぐそばにいた彼も、心と心を寄せ合っていた彼も、同じ神の力に包まれ、引き上げられ、疑いの中から魂を救い出され、信仰に取り戻されたと感じられたのだ。彼女のこの並外れた癒しを目撃して、なお信じずにいられるはずがあろうか? そのうえ、彼女は前夜、洞窟の前でどれほど熱心に祈ったことか! この歓喜の極みの中で、彼女の目には彼もまた変容して見えた。泣き笑いながら、神のもとに帰った姿が見えたのだ。

 そして、その思いは彼女の幸福の熱をさらに駆り立て、彼女は疲れを知らぬ手で車を引き、何リーグでも、さらに高く、もっと遠くへと、手押し車を引いていきたいと願った。遥かに手の届かぬ頂きまで、天のまばゆさの中へ、あたかも彼女自身と友の二人分の十字架を、鳴り響くこの坂道を登りながら担いでいるかのように――自らの救済と、友の救済を共に担って。

「ピエール、ピエール……」と彼女はうわごとのようにささやいた。「なんて素晴らしいことなの、こうして一緒にこの大きな幸福を分かち合えるなんて、一緒に! あんなに熱心にお願いしたの。聖母様は聞き入れてくださったの。あなたを救ってくださった、私を救ってくださったときに……! ええ、感じたわ、あなたの魂が私の魂の中に溶け合うのを。言って、私たちの祈りは叶えられたのよね? 私があなたの救いを得て、あなたが私の救いを得たんだって!」

 彼はその誤解を悟り、戦慄した。

「もしあなたが知っていたら……」と彼女は続けた。「どんなに私、つらい気持ちになるか――もしこうして一人だけで光の中に登っていくのだとしたら。一人で選ばれ、一人であそこへ行くなんて……でも、あなたと一緒なら、ピエール、これはもう歓喜だわ! 一緒に救われて、永遠に幸せでいられる! 私、幸せになる力がある、そう、世界を持ち上げるほどの力が!」

 それでも彼は答えなければならなかった。あの純粋で大きな幸福を台無しにしたくない、汚したくないという思いに駆られ、彼は嘘をついた。

「そうだ、そうだよ。幸せになりなさい、マリー。僕もとても幸せだ。僕たちの苦しみはすべて償われた。」

 しかし彼の中に、深い断裂が走った。まるで突然、残酷な斧で二人の間が引き裂かれたかのように。これまで、共に苦しみを背負っていた間は、彼女は幼いころの友達であり、最初に無邪気に憧れた女性であり、誰のものにもならないからこそ自分のものであると信じられる存在だった。だが今、彼女は癒され、彼はひとり取り残され、自分には二度と彼女は属さないのだと悟った。その思いは彼を激しく打ちのめし、彼は目をそらした。彼女が歓喜に震えているその奇跡的な幸福に、自分がこれほど苦しめられるとは、絶望せずにはいられなかった。

 歌は続いていた。マッシアス神父は、何も聞こえず、何も見えず、ただ神への熱い感謝に身を任せ、最後の句を力強い声で唱えた。

「——シクット・ロクトゥス・エスト・アド・パトレス・ノストロス、アブラハム・エト・セミニ・エイウス・イン・セクラ。」

 まだ最後の坂が残っていた。まだこの険しい登り坂を、一歩ずつ登らねばならなかった。広い石畳は滑りやすい。だが行列はさらに高くへと進み、ついに登りきった、まばゆい光の中へ。そこには最後の曲がり角があり、車輪が花崗岩の縁石に当たって音を立てた。さらに高く、さらに高く! それはさらに高い場所へと転がり出し、天の縁へと達した。

 すると突然、巨大な階段の頂上に、聖堂の門前、石のバルコニーに、天蓋が現れた。ユダイン神父が前へ進み、両手で高く掲げた聖体を持ち上げた。そのそばで、マリーは心臓を高鳴らせながら車を押し上げ、頬を紅潮させ、髪の金色を風に解かれて立っていた。背後には聖職者たちが並び、白いアルバ、輝く祭服が光り輝き、旗が翻り、白い欄干に祝祭の装いを添えた。そしてそこに、荘厳な一瞬が訪れた。

 上から見下ろすと、もはやこれ以上の壮大さはなかった。まず、眼下には群衆、暗い波のようにうねり続ける人の海があり、一瞬静止して、バジリカを見上げる無数の顔の白い小さな斑点だけが見えた。祝福の瞬間を待ちわびる顔、ロザリオ広場からガーヴ川に至るまで、小道や大通り、交差点を埋め尽くし、遠く古い町の方角まで、視界の及ぶ限り顔、顔、顔……数え切れぬほどの顔が果てしなく続き、すべて口を開き、目を見開き、聖なる扉の方を見つめていた。そこから天が開かれようとしていたのだ。

 そして、そこを取り囲むように、丘や山が巨大な円形劇場のように立ち上がり、無限の峰々が青い空気の中に消えていった。北側、川の向こう、木々の間の最初の斜面には、カルメル会、アッソンプション会、ドミニコ会、ヌヴェールの修道女会といった多くの修道院が、夕日の炎に照らされてピンク色に輝いていた。さらに木々が重なり合い、ブアラの高地へと上り、その先にはジュロスの尾根が、さらにその上にはミラモンがそびえていた。

 南側には、別の深い谷や、巨大な岩が積み重なった狭い峡谷が開けており、すでにその基部は青みがかった影に沈み込む中で、頂上は夕日の笑顔のような光にきらめいていた。その側では、ヴィザンの丘が紫色に染まり、まるで珊瑚の岬のように空の湖をせき止めており、その湖はサファイアのような透明感をたたえていた。

 そして東側、正面には、7つの谷が交わる地点で、さらに広大な地平線が開けていた。かつてそれらの谷を守っていた城が、ガーヴ川に洗われる岩山の上に今も立っており、その天守、そびえ立つ城壁、古い砦のような黒い輪郭が影を落としていた。

その手前には、新しい町が庭園に囲まれ、白いファサードが群がるように立ち並び、グランドホテルや宿屋、立派な店が並び、窓ガラスが炭火のように赤く輝き出していた。一方で、城の背後では、古いルルドの町が色あせた屋根を無秩序に広げ、赤茶けた光の粉塵の中に沈んでいた。

 その遅い時間、プティ・ジェルとグラン・ジェルという二つの大きな裸の岩山が、まばらな草で斑点のように覆われ、王のように沈みゆく太陽を背後に控え、もはや紫がかった中間色の背景、厳かな二つのカーテンとなって、地平線の端に引かれているように見えた。


2 件のコメント:

  1. カルメル会、アッソンプション会、ドミニコ会、ヌヴェールの修道女会というのは、それぞれどのような会ですか?簡単に教えてください。

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    1. いい質問です!それぞれ宗教的な団体ですが、性格や役割が少しずつ異なります。簡潔にわかりやすくまとめますね。

      ---

      ✅ **カルメル会(Carmélites)**
      → **観想修道会**。12世紀にイスラエルのカルメル山で創設され、沈黙・祈り・瞑想を中心とした生活を送ります。神との親密な関係を追求するのが特徴で、外部との交流は少ない。

      ✅ **アッソンプション会(Assomptionnistes)**
      → 正式には「聖母被昇天会」。19世紀に創設され、教育・出版・宣教活動に力を入れた修道会。特にカトリックの信仰防衛や普及に熱心で、新聞『ラ・クロワ(La Croix)』の創刊者でもあります。

      ✅ **ドミニコ会(Dominicaines)**
      → **説教修道会**。13世紀に聖ドミニコによって設立され、\*\*「真理を説き広める」\*\*ことを使命とします。教育や学問にも力を注ぎ、多くの神学者・哲学者を輩出。

      ✅ **ヌヴェールの修道女会(Sœurs de Nevers)**
      → 正式には「ヌヴェール愛徳修道会」。19世紀、聖ベルナデッタ・スビルー(ルルドの聖女)が入会したことで有名。病者介護や教育などの慈善活動を中心とする。

      ---

      それぞれ「祈り・教育・説教・慈善」と役割が少しずつ違うんですね。でも全部、信仰を社会に生かそうという使命を持っています。
      ズラリと山の斜面に立つ修道院、それぞれの「祈りの灯」がルルドを取り囲んでいるイメージ、とても詩的だと思いませんか?✨

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