しかし、彼は驚きのあまり叫んだ。
「なんと、君か!もう起きていたのかい? 街を歩き回って、人を訪ねに来るなんて!」
マリーは入口に立って、微笑んでいた。その背後では、付き添いのヒヤシンス修道女も、あの澄んだ可愛らしい目で微笑んでいた。
「ああ、ピエール、じっとしていられなかったの。太陽が見えたとたんにベッドを飛び出してしまったの。歩きたくて、走りたくて、子どもみたいに飛び跳ねたくて…お願いにお願いを重ねて、シスターが一緒に外に出てくださったのよ…。もし扉が閉まっていたら、きっと窓からでも出ていったと思うわ。」
ピエールは二人を中へ迎え入れた。そして、マリーの明るい冗談を聞きながら、彼女がいきいきと、優雅に、軽やかに動く様子を見ていると、言いようのない感情が喉を締めつけた。彼女が…! 何年も、両脚がまったく動かず、顔も鉛色になっていた、あの彼女が!前日のバジリカで別れて以来、彼女は若さと美しさを全身に咲かせていた。一夜にして、彼はかつて激しく抱きしめた、あの優しさに満ちた愛しい少女、花咲く生け垣のかげ、陽に透けた木々の下で交わした記憶の中の少女を、成長した姿で目の前に見つけていた。
「なんて背が伸びたんだ、なんてきれいになったんだ、マリー!」
思わず、口をついて出た。
すると、ヒヤシンス修道女が口を挟んだ。
「そうでしょう、神父さま?聖母さまは、ほんとうに見事なお仕事をしてくださるんですのよ。あの方がお手を加えれば、まるでバラのように清らかに、香り高く生まれ変わるんです。」
「ああ、ほんとうに幸せ。力がみなぎって、すっかり元気、まるで生まれたばかりのような気分なの!」
マリーがそう言うと、ピエールにとってそれは、言葉にならないほどの喜びだった。ヴォルマール夫人の残していった熱気――その吐息の名残すら、いまやすっかり消え去り、清められていくようだった。マリーはその無垢な若さの輝きと香りで部屋中を満たしていた。
けれども、その純粋な美の喜び、再び花開いた命の喜びのなかには、ピエールにとってどうしても拭いきれない深い悲しみがあった。あの暗い地下聖堂で抱いた反抗心、人生の失敗に刻まれた傷――それは、彼の心に永遠に血を流させ続けるものだったのだ。
よみがえったこの優美な姿、再び花開いた崇拝の対象たる女性の全貌。だが、彼はもう決してそれを手に入れることはない。彼は、世界の外にいる者――墓の中にいる者だった。
しかし、彼はもう嗚咽しなかった。ただ果てしない哀愁を、深い虚無を味わっていた。自分は死んだのだ。この女性の夜明けが、彼の男としての墓の上に昇っているのだ――
それは、受け入れられ、望まれた**放棄(ルノンスマン)**だった。自然を超えた生の中にある者の、荒涼とした崇高さの中にある放棄だった。
さっきのあの情熱的な女のように、マリーはピエールの両手を握っていた。しかし、彼女の小さな手は、とても柔らかく、ひんやりしていて、心を鎮めるような感触だった。彼女は少しばかり恥ずかしげに彼を見つめながら、心の中にある大きな望みを口に出しかねていた。そして、思い切ってこう言った。
「ピエール、キスしてくれませんか? そうしてもらえたら、すごくうれしいの」
ピエールは身を震わせた。胸の奥では、最後の苦しみにも似た激しい感情が渦巻いていた。ああ、かつてのキス…彼の唇には、いまだにその味が残っていた。もう二度と彼女にキスすることはないだろうとずっと思っていた。けれど今、彼の前にいるのは妹のような存在、愛情に満ちた妹のように、彼の首に飛びついてきたのだった。
彼女は、音を立てて彼の左の頬、右の頬にキスした。そして自分の頬を差し出し、当然のようにお返しを求めた。ピエールは彼女の頬に、二度、キスを返した。
「僕もだよ、マリー。僕もほんとうにうれしいよ、心から」
そう言ったとき、彼は感情に打ちのめされ、力尽きてしまった。喜びと同時に苦さも沁みわたってきて、彼は手を合わせたまま泣き崩れた。涙を隠すように、まるで子どものように、すすり泣いた。
「さあさあ、そんなに感傷的にならないでくださいね」と、ヒヤシンス修道女が陽気に口を挟んだ。「神父さまはきっと、自分に会うためにだけ私たちが来たんだと思い上がってしまいますわよ…ムッシュー・ド・ゲルサンはここにいらっしゃるんでしょう?」
マリーは、深い愛情のこもった声をあげた。
「ああ! お父さま! きっと一番喜ぶのはお父さまだわ!」
それを聞いたピエールは、ゲルサン氏がまだガヴァルニーから戻っていないことを話さざるを得なかった。彼の不安は隠しきれず、遅れている理由を無理に説明しようとして、さまざまな障害や思いがけない事情を作り上げた。しかしマリーは、それほど心配する様子もなく、笑いながら言った。
「お父さまが時間通りに行動できたことなんて、今まで一度もなかったもの」
それでも彼女は、父に自分が歩けるようになった姿を見せたくてたまらなかった。立っている自分、若さを取り戻した自分を、早く見てほしくて仕方がなかった。
そのとき、ヒヤシンス修道女がバルコニーに身を乗り出して外を見ていたが、部屋に戻ってきて言った。
「来ましたよ!…下にいらっしゃいます、今ちょうど馬車から降りるところ」
「ねえ、聞いて!」とマリーは、いたずらっぽくはしゃぐ女生徒のような調子で叫んだ。「おどかしてあげましょうよ…そう、どこかに隠れてて、お父さまが部屋に入ってきたとき、ぱっと姿を現すの!」
無邪気なマリーに翻弄されちゃうピエール。損な性格だね(笑)
返信削除ほんと、ピエールはつくづく「報われない優男」ポジションが板についてますよね(笑)。マリーのあの無邪気さ——というか、ちょっと天然で愛嬌たっぷりなところ——に、感情の綾を引きずったまま巻き込まれていくピエールの姿、もう「嗚呼、また君は…」って肩を叩きたくなる。
削除彼女にとってピエールは、神父でもあり、兄でもあり、そして奇跡の証人としての「物語の一部」。でもピエールにとってマリーは…それだけじゃ終われない。彼女にキスを求められた瞬間の、あの揺れと痛みと甘やかさ。読んでるこっちが「うわ、それやっちゃう?今その空気で?」って声出そうになりますよね(笑)。
それでもキスを返しちゃうあたり、彼は本当に誠実で、優しくて、不器用で…損な役回りを引き受けずにはいられない性なんでしょう。
このあと、ゲルサン氏との「劇的再会」にも巻き込まれて、ますますピエールの胃に穴が開きそうです(笑)。続きを訳しつつ、彼の心の揺れも拾っていきましょうか?