それから彼は、父親としての誇りに浸っているゲルサン氏を祝福した。まるで神々しいまでに満ち足りた様子だった。それは再び始まった喝采の嵐だった——この優しい言葉の合唱、驚嘆に満ちたまなざしの数々。朝、ルルドの街を歩いたときにマリーのあとに続いていたそれらが、今また、出発の直前に彼女を取り囲んでいた。鐘がいくら鳴り響いても、歓喜する巡礼者たちの輪が彼女の周囲にでき、まるで彼女がこの巡礼の栄光そのもの、信仰の勝利そのものを体現しているかのようだった。その勝利は、いまや地の果てまでも轟いているかのようだった。
そのとき、ピエールはふと感動に包まれた。彼の目には、近くに立っている苦しげな一団——ディユラフェ氏とジョスール夫人の姿が映ったのだ。彼らもまたマリーを見つめていた。他の人々と同じように、彼女の驚くべき「復活」に驚嘆していた。あの若く、美しい、かつては生気を失い、やせ衰え、顔色も土のようだった少女が、今やここに、蘇っている。——なぜこの少女が? なぜ彼らが連れて帰ろうとしている、死にかけたあの若い女性ではなかったのか? 彼らの戸惑い、そして恥じらいはますます深まったようだった。まるで、自分たちが「裕福すぎる者」という社会のはみ出し者であることを思い知らされたかのように、居心地悪そうに後ずさりした。そして、三人の担架係がようやくの思いでマダム・ディユラフェを一等車のコンパートメントに乗せたとき、彼らはようやくその中に姿を消すことができた。ジュダン神父も同乗していた。
そのとき、駅員たちの声が響きわたった。「ご乗車くださーい! ご乗車くださーい!」
マッシアス神父は巡礼列車の霊的な監督を任されており、すでに自分の席に戻っていた。ホームには、まだボナミー医師にもたれかかるようにして、フルカード神父の姿が残っていた。
ジェラールとベルトーは、さっと女性たちに別れの挨拶をした。レモンドはデザニョー夫人とヴォルマール夫人が座っている自分たちの席に上がっていった。ジョンキエール夫人は、ついに駆け出して自分の車両へと向かい、ゲルサン一家とちょうど同時に到着した。
その間、車両全体にわたって大混乱が広がっていた。叫び声、必死の駆け足……機関車が今しがた連結されたところだった。それは、まるで星のように輝く、真鍮製の機械だった。
ピエールはマリーを先に車内へと通そうとしていたとき、猛スピードで戻ってきたヴィニュロン氏に呼び止められた。
「有効だよ! 有効だった!」
顔を真っ赤にしながら、彼は切符を振り回して見せた。そして、一目散に自分の妻子の待つ車両へと駆け戻り、朗報を伝えた。
マリーとゲルサン氏が座席に落ち着くと、ピエールはホームに残り、シャセーニュ医師ともう一分だけ立ち話をした。医師は父親のようにピエールを抱きしめた。彼はピエールに、パリに戻り、もう一度人生を取り戻すように約束してほしいと思っていた。しかし、年老いた医師は首を振った。
「いや、いや、私の坊や、私はここに残る……彼女たちがいるんだ、ここに。彼女たちが私を引き止めている」
彼が言っていたのは、彼の愛する死者たち——妻と娘のことだった。
そして、やさしく、深い感慨を込めて言った。
「では、神のもとで――」
「そんな…さようならじゃありません、お医者さま。またきっと、お会いしましょう!」
「いいや、いいや、さようならだよ……コマンドゥールが言っていたことは正しかった。死ぬということは、これほど素晴らしいことはない。そして、生まれ変わるために死ぬのだ」
スイール男爵が命じて、列車の先頭と最後尾に掲げられていた白旗が降ろされた。駅員たちの叫び声がますます強くなった。「ご乗車を! ご乗車を!」
それは最後の混乱だった。遅れてきた巡礼たちが、汗だくで、息も絶え絶えになって駆けつけていた。
車両の中では、ジョンキエール夫人とヒヤシンス修道女が乗客の数を確認していた。グリヴォットも、エリーズ・ルケも、ソフィー・クトーも無事にそこにいた。サバティエ夫人も席に着き、目を半ば閉じた夫の向かいに、静かに座っていた。彼は、ただ出発の瞬間を静かに待っていたのだった。
すると、誰かの声が尋ねた。
「ヴァンサン夫人は? 一緒に帰らないのですか?」
ちょうど貨車の戸口に立つフェランと、名残惜しそうに微笑みを交わしていたヒヤシンス修道女が、さっと顔を上げて叫んだ。
「いらっしゃいました!」
ヴァンサン夫人が線路を横切って駆け寄ってきた。最後に到着した彼女は、息を切らし、呆然とした様子だった。
そのとき、ピエールは思わず、反射的に彼女の腕を見た。そこには何もなかった。空っぽだった。
列車のすべてのドアが、次々にバタン、バタンと音を立てて閉まっていった。すでに車内は満員で、あとは出発の合図を待つだけとなった。息を吐きながら、煙を噴き上げながら、機関車が甲高く歓喜のような最初の汽笛を鳴らした。そしてその瞬間、それまで薄く覆っていた雲が晴れ、陽の光が一気に差し込んだ。その列車は、まるで伝説の楽園へ向かうかのように輝き、機関車は黄金のように光り輝いていた。
それは、子どものような無邪気さと、天上のような歓びに満ちた出発だった。苦さは一切なかった。病める者たちは皆、まるで癒されたかのように見えた。いや、運ばれるときと変わらぬ状態だったとしても、彼らは今、心軽やかに、少なくとも今この一瞬を幸福に感じていた。
誰もが他人の奇跡を妬まなかった。むしろ、癒された者の歓びを分かち合い、一緒になって歓喜していた。
「自分の番はきっと来る」そう信じていた。昨日の奇跡は、明日の奇跡への確かな約束だった。
三日間の燃えるような祈りの果てにあっても、彼らの願いの熱は冷めることなく、聖母が「今ではなく、後に」と告げたこともまた、彼らにとっては魂の救済に向けた采配として受け止められていた。
その胸の奥には、飢えに似た生命への渇望があり、消えることのない愛と、打ち砕かれぬ希望が燃えていた。
だからこそ、満員の車両からは、歓喜の爆発がこだましていた。非常な幸福のざわめき。笑い声、叫び声が渦巻いていた。
「また来年! きっと戻ってくるよ!」
「ええ、また来ますとも!」
被昇天修道女たちは手を打ち鳴らして喜び、八百人の巡礼者の声で感謝の歌「マニフィカト」が湧き上がった。
――“Magnificat anima mea Dominum…”
(我が魂は主をあがめ)
ついに駅長が満足し、両腕を下げて出発の合図を出した。再び機関車が汽笛を鳴らし、ついに動き出す。燦然たる太陽の中を、列車はまるで栄光に包まれるようにして走り出した。
ホームでは、ボナミー医師の肩に寄りかかりながら、足の痛みに苦しむフルカード神父が、愛する子らの旅立ちを微笑みで見送っていた。
一方、ベルトー、ジェラール、スイール男爵は別の一団を成し、その近くでは、シャセーニュ医師とヴィニュロン氏が、ハンカチを振っていた。
走り去る車両の窓から、喜びにあふれた顔が身を乗り出し、白い布が風にひるがえった。ヴィニュロン夫人は、小さなギュスターヴの青ざめた顔をなんとか見せようとさせていた。レイモンドのふっくらとした手が、いつまでもさよならの合図を送り続けていた。
そしてマリーは、列車の最後尾から、緑に包まれたルルドの街が遠ざかっていくのを、じっと見つめ続けていた。
勝利の列車は、明るい田園を抜けて、輝きながら、轟きながら、そして歌うように消えていった。
――“Et exsultavit spiritus meus in Deo salutari meo.”
(我が霊は救い主なる神を喜びたたえる)
—Adieu!
返信削除—Pas adieu, mon bon docteur, au revoir!
「さようなら」
「いや、さようならじゃない、お医者さま。また会いましょう!」
この部分の訳ですけれども、日本語に訳出するのはちょっと難しいですよね。
フランス語でAdieuとは、次に会うときは神様の前で、つまり死ぬまでもう会うことはないという意味合いがこめられているので、日本語で単に「さようなら」というのとは違いますよね。
特にこの作品、この場面においてAdieuの持つ意味、ニュアンスは重要だと思います。
何かいい訳はないですかね?
「永久の別れだ」なんていうのもちょっと違うかなあ。
おっしゃる通り、「Adieu」の持つ含意は非常に重くて、単に「さようなら」では収まりきらないものがありますね。語源的にも「à Dieu(神のもとに)」で、「神の御許でまた会おう=この世での再会はない」というニュアンスがあり、特に死や永遠の別れがほのめかされる場面で使われるのが特徴です。
削除このルルドの場面もまさにそうですね。別れの場面で、**“Adieu !”** に対して **“Pas adieu… au revoir !”** と返すやりとりには、単なる形式ではなく、「絶望的な別れ」に抗おうとする強い意志、\*\*「希望」や「信仰」\*\*すら込められていると思います。
### いくつかの訳案を挙げてみます:
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#### 🅰️ 遠回しな訳・含みを持たせる:
* **「お別れですね……」**
* 「いや、お医者さま、これは“お別れ”じゃありませんよ。またお会いしましょう!」
➡️ 「Adieu」を明言せず、\*\*「お別れ」\*\*という和語で雰囲気を漂わせるパターンです。抑えた調子ですが、文脈によっては深く響きます。
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#### 🅱️ 直訳+注釈風の重ね表現:
* **「神様のもとでの再会を願って……」**
* 「そんなこと言わないでください、お医者さま。これは“さようなら”じゃなくて、“また今度”です!」
➡️ これは訳文としてかなり説明的になりますが、「Adieu」の宗教的な含意を伝えたい場合には有効です。
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#### 🅲️ 文語的・詩的表現:
* **「これが最期の別れかもしれません…」**
* 「いいえ、お医者さま、それでも私は“またお会いしましょう”と言いたいのです!」
➡️ 少し詩的になりますが、場面の荘厳さや静かな決意には合います。
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#### 🅳️ 創訳調(脚本的なやりとりを強調):
* **「では、あの世で…」**
* 「そんな…そんなの“さよなら”じゃないわ。また、きっと会える…きっと!」
➡️ 意訳気味ですが、感情のこもった対話としては強く読者の心を打ちます。実際の小説や脚本でも使われうる表現。
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### 私のおすすめ(やや意訳+自然な会話調):
> 「では、神のもとで――」
>
> 「そんな…さようならじゃありません、お医者さま。またきっと、お会いしましょう!」
これなら、“Adieu”の重みを出しつつ、それに抗うような“Au revoir”の希望も込められると思います。
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ご希望でしたら、この表現で他の文脈にも合わせて統一できますし、「Adieu」が出てくる他の場面でもニュアンスを統一していく方向でご相談に乗れますよ。
おすすめを採用しました。
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