やがて突然、群衆の中に誤った歓喜の声、虚しいざわめきが走った。
「Eccolo! eccolo! Le voilà! Le voilà!(あそこだ! いらっしゃったぞ!)」
その叫びは波のように広がり、人々は押し合い、身体を揺らし、首を伸ばし、背伸びをし、我先にと見ようとする狂乱に駆られた。聖下とその随行を一目でも見たいと。
しかし、現れたのはまだ、祭壇の左右に整列するための貴族衛兵隊の一分隊にすぎなかった。それでも人々は彼らを賞賛し、喝采し、その軍服の華麗さと誇張された軍人らしい硬直した態度を褒めそやす囁きが伴った。あるアメリカ婦人は彼らを「なんと立派な男性たちでしょう」と言い、またあるローマ婦人は友人のイギリス婦人にこの精鋭部隊について説明した。曰く、かつては貴族の若者たちがこぞって名誉として加わり、華やかな制服と女性たちの前で馬を駆る喜びを求めたものだが、今では募集が難しくなり、没落し出自の怪しいが容姿の整った青年たちでさえ、わずかな給金を糧に身を立てようと喜んで加わるのだと。こうしてさらに15分ばかり、人々は雑談を続け、待ちわびた劇場の開幕を前にざわつく観客さながら、大聖堂の高い天井にそのざわめきが響き渡った。
そしてついに――行列が進み出た。それは待ち望まれていた壮麗な光景、熱烈に迎えられるべき行進だった。舞台さながら、現れた瞬間、怒涛の拍手が沸き起こり、天井の下でこだまし、愛された主演俳優が登場するがごとき喝采を聖下に捧げた。しかもその演出はまるで舞台監督が仕組んだかのように効果的であった。行列は奥の「ピエタの礼拝堂」という舞台裏から整えられ、聖下は隣接する聖体礼拝堂から姿を隠しつつ入り、側廊のカーテンを背景にして登場を準備なさったのである。そこには枢機卿、主教、大司教、司教、すべての教皇庁高位聖職者が階級ごとに並び、合図を待っていた。そして、まるで舞踏監督の指揮であるかのように、行列は中央身廊へと進み出し、中央扉から祭壇へと凱旋するかのごとく歩みを進めた。両脇を埋め尽くす信徒たちは喝采を重ね、目を見張る壮麗さに酔いしれて、熱狂の渦は高まり続けた。
その行列は古き典礼の象徴だった。十字架と剣、正装のスイス衛兵、緋色のシマーレを纏った従者、剣とマントの騎士たちはアンリ二世風の装束で、レースのロシェを着た参事会員、修道会の長たち、使徒座首席秘書官、そして紫の絹をまとった教皇廷の高位聖職者たち、さらに緋色のカッパ・マーニャを翻す枢機卿たちが二列に広く間隔を取り、厳粛に進んでいく。そして聖下を囲むのは、教皇軍務府の将校、密室参事会の高位聖職者たち、侍従長たるモンスニョール、侍従職のモンスニョール、ヴァチカンの高官たち、さらには伝統的な「教会の守護者」として玉座を補佐するローマ貴族の王子であった。
やがて、聖下は担ぎ椅子(チェーザ・ジェスタトリア)にお乗りになった。赤い絹で飾られた担ぎ手に支えられ、高々と揺れる椅子の左右には、勝利の象徴たる大きな羽扇(フラベッリ)が揺れていた。聖下はすでに聖体礼拝堂で祭服を整えておられ、アミクトゥス、アルバ、ストラ、白地に金を織り込んだ白のカズラ、そして白のミトラをお召しになっていた。それらはフランスからの献上品で、比類ない豪華さを誇っていた。お近づきになると、人々はさらに手を高く打ち鳴らし、窓から降り注ぐ光の波の中でその歓声は生きた太陽のごとく燃え上がった。
その時、ピエールはレオ十三世に対して新しい印象を抱いた。それはもはや、最も美しい庭園でおしゃべり好きの聖職者に腕を取られて散歩していた親しみ深い老父ではなかった。赤いマントと教皇帽をまとい、巡礼団から財を受ける慈父でもなかった。そこに現れたのは、全能の支配者、キリスト教世界が崇める神そのものであった。
金細工の聖遺物箱の中に安置されたごとく、その蝋のように細い御身は白衣と金糸の重みに硬直し、乾いた偶像のごとく古の祭祀の煙の中に輝き立っていた。顔は死したように動かず、ただ黒いダイヤのような瞳だけが生き、地上を超えて遥かなる無限を見据えていた。群衆に目を落とすことなく、右にも左にも一瞥を与えず、まるで天空にのみある存在として足元の喧騒を知らぬかのようであった。
このように耳も目も閉ざされたかのごとき偶像として担がれながら、なお光り輝く瞳をもつその姿は、群衆の熱狂のただ中で畏怖すべき威容を帯びた。そこには教義の硬直さ、伝統の不動性が、古の包帯とともに蘇り、彼を立たせていたのである。しかしピエールはふと気づいた――教皇は病んでおられるのではないか、と。疲労の色、発熱の影。その前夜、モンスニョール・ナニが語ったように、この84歳の老体を生かしているのは、ただ使命の権威のもとに生きようとするその意志の力なのだと。
儀式が始まった。サン・ピエトロの告解堂の祭壇前に設けられた担架椅子から降りた教皇は、ゆるやかに進み出て、4人の聖職者と儀式局次長の補助を受けながら、静かな「低声ミサ」を執り行った。手洗いのときには、大執事モンシニョールと侍従長モンシニョールが、2人の枢機卿を従えて祭司役の御手に水を注いだ。やがて聖体挙上の直前、教皇儀礼院の聖職者たちすべてが、手に灯した蝋燭を持って祭壇を取り囲み、ひざまずいた。その瞬間はまさに厳粛であった。そこに集まった4万の信徒の群れは震え、目に見えぬものの戦慄と甘美が彼らを吹き抜けた。やがて、聖体挙上のとき、銀のラッパが鳴り響き、天使の合唱と謳われる荘厳な旋律が轟いた。それは幾度となく女性を気絶させると噂される音楽である。ほどなく、天頂のドームの上方に隠された120人の合唱隊から、空を舞うような歌声が降り注いだ。まるで天使たちがラッパの呼びかけに応じて答えたかのようで、群衆は陶酔し、恍惚となった。声は身軽な竪琴の調べのように天蓋の下を舞い、やがて甘美な和音となって消え、羽ばたきのかすかな響きとともに天へと帰っていった。
ミサの後、教皇はなお祭壇に立ち、自ら「テ・デウム」を歌い始めた。これにシスティーナ礼拝堂の聖歌隊が続き、交互に節を分け合った。やがて会衆全体が唱和し、4万の声が一つとなって喜びと栄光の歌が大伽藍に満ち溢れた。その壮麗さは比類がなかった。花で飾られたベルニーニ作の黄金の天蓋に覆われた祭壇、その周囲を取り囲む無数の蝋燭の星々、中央に立つ教皇は金糸を輝かせる祭服をまとい、光の天体のごとく輝いていた。その傍らには深紅のマントをまとった枢機卿、紫の絹衣に身を包んだ大司教や司教たち、周囲の桟敷には外交団の絢爛たる衣装や外国将校の制服が燦然と並ぶ。さらに群衆は四方から押し寄せ、頭の波をうねらせながら堂内を埋め尽くした。側廊ひとつでひとつの小教区を丸ごと収容できるほど、横断廊は大都市の教会に匹敵するほど広大である。それでもこの無量の空間をなお完全には満たせぬほどの群衆の声が、嵐の息吹のごとく高鳴り、壮大な石の天蓋を震わせ、巨像のような大理石の墓碑や超人的な彫像の間を抜け、巨柱に沿って駆け上がり、やがて天蓋の天空、金色のモザイクに光り輝くクーポラの彼方、無限の天へと昇りゆくのであった。
「テ・デウム」の後、しばしざわめきが続いた。レオ十三世はミトラを脱ぎ、代わって三重冠ティアラを戴き、祭服を大祭礼用のマントに改めて、左翼の横断廊に設けられた玉座に向かった。そこからは全会衆を一望できた。やがて典礼の祈りを終え、立ち上がった瞬間、目に見えぬ息吹に触れたかのように人々の背筋を戦慄が走った。三重の冠に象徴された威光、黄金のマントに包まれたその姿は、いよいよ偉大さを増して見えた。沈黙が堂内を覆い、ただ胸の鼓動だけが響く中、教皇は高貴にして荘厳な身振りで腕を掲げ、ゆるやかに、しかし力強い声で教皇祝福を与えた。その声は神の声そのもののようであった。血の気のない蝋のような唇から、命なき身体から放たれるとは信じ難いほどに、力と威厳を帯びていた。
その効果は雷のごとく人々を打ち、再び拍手が巻き起こった。行列が再び整列し、来た道を戻り始めると、熱狂は頂点に達した。拍手だけでは足りず、群衆は声を張り上げ、やがて全堂を埋め尽くす歓呼となった。それは聖ペトロ像のそばに集まっていた熱烈な一団から始まった。
「Evviva il papa re! Evviva il papa re! 教皇王万歳! 教皇王万歳!」
その声は火のように燃え広がり、行列の進むごとに心から心へと伝わり、ついには数千の口々から噴き上がる雷鳴のごとき叫びとなった。それは教皇領を奪った不正への抗議であり、荘厳なる典礼の幻影に駆り立てられた信仰と愛の爆発であった。信徒たちは夢へと戻り、熱に浮かされたように願った。すなわち、魂を支配するのみならず、肉体をも支配する王としての教皇、地上の絶対の君主であることを。唯一の真理、唯一の幸福、唯一の救済はそこにある。人類も世界もすべてを彼に委ねよ。
「Evviva il papa re! Evviva il papa re! 教皇王万歳! 教皇王万歳!」
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