2025年3月2日日曜日

ルルド 第61回

  人々は驚き、笑い声を上げた。彼のことはよく知られており、彼の死に取り憑かれたような偏執的な情熱は、もはや許容されていたのだった。だが、それでも彼がどもりながら支離滅裂な言葉を口にし、「美しさも財産もない者が生きたいと望むのは哀れなことだ。あの娘は、これ以上苦しむくらいなら、むしろすぐに死んでしまうべきだったのだ」と言ったとき、周囲の人々はざわめき始め、彼を非難しようとした。そこへ通りかかったユダイン神父が、間一髪、彼を救い出した。神父は彼をその場から引き離し、厳しくたしなめた。

「黙りなさい!なんという不敬なことを……。なぜ神の慈悲に逆らおうとするのです?神は時に、我々の悲惨さを和らげるために恵みを与えてくださるのですよ……。あなたこそ、ひざまずいて祈るべきではないのですか?何度も言いますが、神に足を返してくださるよう願いなさい、あと十年生きられるようにと懇願するのです」

 すると、コマンドゥールは激高した。

「私が、私がだと!?あと十年の命を乞うだと?私の人生で最も素晴らしい日が、私がこの世を去る日になるというのに!私は、ここにいる何千もの病人どもと同じように、卑屈で臆病になれというのか?彼らは死への卑小な恐怖に駆られ、己の弱さを叫び、生きたいという恥ずべき情熱にしがみついているではないか!そんなことをするくらいなら、私は自分を心底軽蔑するだろう!だからこそ、私はさっさとくたばるのだ!今すぐにでも!そうすれば、もう存在しなくて済むのだからな!」

 そう叫ぶと、彼はようやく巡礼者の群れを抜け出し、ガーヴ川のほとりへとたどり着いた。そこには、シャセーニュ医師とピエールがいた。彼は医師のほうを向くと、日ごろから顔なじみだったこともあり、吐き捨てるように言った。

「なあ、あんたも聞いたか?さっき、やつらは死人を生き返らせようとしたらしいじゃないか!そんな話を聞いて、俺は窒息しそうになったぜ……。なあ、医者先生、あんたに分かるか?ある男が、ようやく死ねたというのに、それを連中は水の中に浸して、生き返らせようとしたんだとさ!とんでもない犯罪行為じゃないか!もし成功していたらどうする?だって、こんな奇天烈な世の中じゃ、何が起こるかわかったもんじゃない。仮にその水が、あの哀れな男を生き返らせたとしたら、どうだ?そしたら、そいつは生き返らせた奴らの顔に唾を吐いて怒りをぶつける権利があると思わんか?死人の体を勝手に継ぎはぎしやがって……。第一、その死人は、生き返りたいと頼んだのか?死んでいることに満足していたかもしれないのに!人の意見くらい聞いてからにしろってんだ……。

 想像してみろよ、俺がようやく安らかな永遠の眠りについたときに、あいつらが同じことを俺にしようとしたら!俺はどう迎えてやると思う?冗談じゃない!余計なことに首を突っ込むなって言ってやるさ!そのうえ、すぐさま死に直行してやるとも!」

 彼の激情はあまりにも奇妙で、ユダイン神父とシャセーニュ医師は思わず微笑まずにはいられなかった。しかし、ピエールは深い震えに凍りつき、真剣なまま立ち尽くしていた。それはまるで、絶望の叫びを上げるラザロの呪詛ではなかったか?彼は何度も想像したことがあった——墓から呼び戻されたラザロが、イエスに向かってこう叫ぶのを。

「ああ、主よ!なぜ私をこの忌まわしい生へと呼び戻されたのですか?私は永遠の夢なき眠りの中で、ようやく安らぎを得ていたというのに!ついに虚無の至福を味わっていたのに!
私はすでにこの世のすべての惨めさと苦痛を知り尽くしました。裏切り、偽りの希望、敗北、病——私は生まれた理由も知らぬまま、どう生きるべきかも知らずに生きてきました。そして、ようやく終わりを迎えたというのに、あなたは私にこの苦役を二度繰り返させようというのですか!
 私が何か取り返しのつかない罪を犯したとでも?それゆえに、こんなにも苛烈な罰を与えるのですか?
 生き返ること、それは、肉体の内で日々少しずつ死んでいくこと、知性を持つがゆえに疑い続け、意志を持つがゆえに何もできず、愛情を持つがゆえに悲しみの涙を流し続けること!
 すべては終わったはずだったのです。私はすでに死の恐怖に満ちた門をくぐりました。この一瞬の戦慄が、私の生のすべてを毒したのです。私は死の汗に濡れ、血が身体から引き、最後の息を震える嗚咽とともに吐き出しました。
 その苦しみを、もう一度味わえとおっしゃるのですか?
 二度も死なねばならぬというのですか?
 この世のすべての人間よりも、さらに重い苦しみを背負えというのですか?
 ああ、主よ!どうか今すぐに!
 そう、お願いです、もう一つの大いなる奇跡を起こし、私を再び墓へと戻してください!
 中断された私の永遠の眠りを、もう一度与えてください!
 どうか憐れみを——再び生きるという、未だかつて誰一人として背負わされたことのない、この恐ろしい苦しみを、私に負わせないでください!
 私はあなたを愛し、仕えてきました。どうか、私をあなたの怒りの最も恐ろしい証としないでください!
 どうか、慈悲深く優しく、主よ!
 私に、ようやく手に入れた眠りを返してください!
 あなたの虚無の至福のうちに、私をもう一度眠らせてください!」

——

 その間に、ユダイン神父はついにコマンドゥールをなだめ、彼を連れ去っていった。
ピエールはシャセーニュ医師と固く握手を交わしながら、すでに五時を回っていることを思い出した。マリーが彼を待っているはずだった。

 そして、ついに再び洞窟へと戻ろうとしたその時、彼は新たな出会いを果たす。
デゼルモワ神父がゲルサン氏と熱心に語り合っているのを見かけたのだ。ゲルサン氏はようやくホテルの部屋を出てきたばかりだった。ぐっすり眠って、すっかり元気を取り戻していた。
 二人は、信仰による高揚が女性たちの顔に与える異様な美しさについて感嘆し合い、さらに、明日のガヴァルニー圏谷への遠足計画について語り合っていた。

 やがてゲルサン氏は、マリーが最初の沐浴を受けたにもかかわらず、何の変化もなかったことを知ると、すぐさまピエールについて行った。
 彼らが聖域へと戻ると、マリーは同じ苦痛に満ちた茫然自失の状態で座り込んでいた。彼女の目はただ、聖母像をじっと見つめたままだった。

 その像は彼女の祈りに答えなかったのだ。

 彼女の父が愛情を込めて語りかけても、彼女は何の反応も示さなかった。ただ、大きな悲しみに満ちた目で彼を見つめると、再び視線を純白の聖母像へ戻した。
 その像は、蝋燭の光に照らされ、静かに輝いていた。

 ピエールは彼女を病院へ送り届けるため、立ったまま待っていた。その間、ゲルサン氏は敬虔に膝をついた。

 彼は、まず心からの祈りを捧げた——
 どうか、私の娘を癒してください。

 次に、彼自身の願いを口にした。

 どうか私に、気球の操縦研究のために必要な百万フランを支援してくれる出資者を授けてください。


4 件のコメント:

  1. ラザロの呪詛というのは聖書にあるお話ですか? 簡単に解説してください。

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    1. いいえ、ラザロがイエスに対してこのような呪詛を吐く場面は **聖書には存在しません**。これは **ゾラの創作** です。

      ### **聖書のラザロ復活の話(ヨハネによる福音書 11章)**
      ラザロはベタニア村の住人で、マルタとマリアの兄弟でした。彼が病死した後、 **イエスが墓の前で「ラザロよ、出てきなさい!」と命じると、死後4日経っていたラザロが蘇る** という奇跡が起こります。
      この出来事は、イエスが「私は復活であり、命である」と語る場面とともに、 **キリストの神性を示す重要な奇跡** とされています。

      ### **ゾラによる解釈**
      ゾラは **ラザロが復活を望んでいなかった** という視点を取り入れ、 **「死後の安らぎを奪われた苦しみ」** を呪詛の言葉として語らせています。
      彼のラザロ像は、 **死は救いであり、生とは苦役である** という **厭世的・実存的なテーマ** を反映しています。
      これは、ゾラの **科学的合理主義や無神論的傾向** を示す部分であり、ルルドの奇跡への懐疑と重なるものです。

      簡単に言うと、
      📖 **聖書のラザロ → 喜ばしい復活の象徴**
      📚 **ゾラのラザロ → 苦しみの再開を嘆く存在**
      という **正反対の解釈** になっています。

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  2. なるほどね。
    そして、最後のゲルサン氏の祈り。娘の快癒と同時に自分の事業の投資のこともちゃっかりお祈りしているところがゾラですね。

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    1. そうなんですよね!マリーの奇跡的治癒を願う父親の **敬虔な祈り** かと思いきや、最後はちゃっかり **自分の気球研究への投資** も願っているところがゾラらしい皮肉です。

      ゲルサン氏はもともと **科学と進歩に夢見る楽天家** であり、超常的なものにそこまで強い信仰はないのですが、それでも **「せっかく神に祈るなら、ついでにビジネスの成功も!」** という俗っぽさが抜けない(笑)。

      ゾラは **「信仰」と「現実」の対比** を描くのが本当に巧みですね。
      純粋に祈る人々の傍らで、 **「現実的な欲望」** を祈りに忍ばせる人がいる。こういう **人間臭い描写** が、物語全体のリアリティを生んでいる気がします。

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