マリー自身も、庭園の木々の下に留まる方が好ましかった。そこはとても心地よい場所だった。そこで彼らは移動し、大広場へと出た。そこでは、冠を戴いた大聖母像が彼らを迎えた。像は色付きのガラスで照らされ、まるで縁日の賑やかさの中にあるかのような輝きを放っていた。青と黄色の提灯が後光のように取り囲んでいた。しかし、信仰心の篤いゲルサン氏でさえ、それをひどく悪趣味だと感じた。
「ほら!」とマリーが言った。「あの茂みのそばがちょうどよさそうだわ。」
彼女が指し示したのは、巡礼者たちの避難所(L’Abri des pèlerins)のそばにある低木の茂みだった。その場所は確かに絶好だった。左手の坂道から行列が下りてくる様子がよく見え、さらに、新しい橋へと進んでいく人々の流れを、芝生沿いに往復する形で追うことができた。さらに、近くを流れるガヴ川のせせらぎが、周囲の木々にひんやりとした心地よさを添えていた。誰もいない静寂の中で、大きなプラタナスの濃い影に包まれながら、彼らは無限の平穏を享受した。
ゲルサン氏は背伸びをしながら、待ちきれない様子でバジリカの曲がり角から最初のろうそくの光が現れるのを待ちわびた。
「まだ何も見えないな……」と彼は呟いた。「もういい、ちょっと芝生に腰を下ろそう。足が棒のようだ。」
そして、娘のことを気遣った。
「寒くないか? ここはかなり冷えるぞ。」
「いいえ、お父さま、全然寒くないわ。とても幸せ……こんなにいい空気を吸ったのは久しぶりよ……バラの花があるはずだわ。あの素晴らしい香りがしない?」
そして、マリーはピエールの方を向いた。
「ねえ、バラはどこにあるの? 見える?」
ゲルサン氏が車椅子のそばに座り込むと、ピエールはふと、近くにバラの花壇があるかどうかを探そうと思った。しかし、芝生の暗がりをあちこち探しても、目に入るのは緑の茂みばかりで、バラらしきものは見当たらなかった。
そして、巡礼者の避難所(L’Abri des pèlerins)の前を通りかかったとき、ふと好奇心に駆られ、中へ入ってみた。
そこは天井の高い広間で、両側に大きな窓があり、光が差し込んでいた。床は石造りで、壁は何も飾られておらず、家具といえば、あちこちに無造作に押しやられたベンチがあるだけだった。机もなければ、棚の類もない。そのため、宿のない巡礼者たちは、窓のくぼみに荷物を詰め込んで、そこを即席の収納スペースにしていた。
広間はがらんとしていた。そこに身を寄せていた貧しい人々も、今はすべて行列に参加しているのだろう。しかし、扉が開け放たれているにもかかわらず、広間には耐えがたい悪臭が立ち込めていた。壁には貧しさの匂いが染みつき、床は汚れ、太陽が照りつけた昼間でさえ湿り気を帯び、痰や脂、こぼれたワインの痕跡がこびりついていた。そこではすべてが行われていた——食事をし、眠り、そして、汚れた身体とぼろ布の中で折り重なって生きていた。
「バラの香りは、ここからではないな……」
ピエールはそう思いながらも、広間を一通り見回した。四つの煤けたランタンがかすかな光を放っていたが、彼はそこが完全に無人だと思い込んでいた。
だが、そのとき、彼は左手の壁際に ぼんやりとした人影 を見つけた。
それは、黒い衣服を身にまとった 女性 だった。膝の上に白い包みを抱え、広間の中で ただ一人、動かずに座っていた。
そして、彼女の目は 大きく見開かれていた。
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