2025年11月6日木曜日

ローマ 第129回

  しばらくのあいだ、サントボーノはまったく動かずに目を伏せていた。彼はまるで、膝の上に大切に抱えた小さなイチジクの籠を、終わりなく観察しているかのようであった。その慎重な様子は、まるで聖体を扱うかのようであった。あまりにも直接的で強い調子で呼びかけられたため、彼は目を上げざるを得なかった。しかし、沈黙を破ることはせず、ただ長く、ゆっくりと頭を垂れた。

「そうでしょう、神父さま。人を死に至らしめるのは、毒ではなく、神のみです……そう言ったのが、哀れなガッロ師が息を引き取る際の、最後の言葉だったと伝えられています。ボッカネーラ枢機卿の腕の中でね。」

 再び、何も言わずにサントボーノは頭を垂れた。三人とも黙り込んだまま、物思いに沈んだ。

 馬車は果てしないカンパーニャの荒野を、絶え間なく走り続けていた。真っすぐに延びる道は、まるで無限へと続くかのようであった。太陽が地平線に傾くにつれ、光と影の戯れがいっそう鮮やかになり、緩やかにうねる丘陵の起伏が際立った。それらは緑がかった薔薇色や灰紫色に染まりながら、はるか天の果てへと連なっていた。道の両側には、相変わらず乾いた大きなアザミや、黄色い花をつけた巨大なフェンネルが続いていた。やがて、四頭立ての牛車が一台、まだ耕作の途中に取り残されていた。黄昏の淡い光の中で黒く浮かび上がるその姿は、荒涼とした孤独のただ中で、驚くほど雄大に見えた。少し先では、羊の群れが塊となって草の上に点々とし、風に乗って脂臭い獣の匂いが漂ってきた。ときおり、犬の吠える声だけが響く——それは、この沈黙した荒野における唯一の明瞭な音だった。そこには、まるで死者の王国のような、圧倒的な静寂の平和が支配しているかのようであった。だが、ふと軽やかなさえずりが聞こえた。ヒバリたちが飛び立ち、そのうちの一羽が黄金の澄んだ空へと高く、高く舞い上がっていった。そして、正面の遠く、純粋な光の結晶のような空の底に、ローマが次第に大きくなっていった。塔や円蓋が輝き、まるで魔法の庭園の緑の中から幻のように生まれ出る、白い大理石の都のように見えた。

「マッテオ!」とプラダが御者に声をかけた。「オステリア・ロマーナで止まってくれ。」

 それから仲間たちに向かって言った。
「すまないが、少し寄らせてもらうよ。父のために新鮮な卵があるか見てくるんだ。あの人は卵が大好物でね。」

 馬車はちょうど到着し、止まった。そこは道ばたに建つ、ごく素朴な宿であった。その堂々たる看板には「アンティカ・オステリア・ロマーナ」と書かれていた。荷馬車引きたちのための単なる中継所にすぎず、猟師たちだけが、ときおりここで白ワインを一杯飲み、オムレツとハムの切れ端をつまむ程度だった。とはいえ、日曜には時おり、ローマの庶民が遠出してここまで来て、ささやかな楽しみを見つけることもあった。だが平日は、この広大で裸のカンパーニャの中で、一日が過ぎても、人影一つ見られないことが多かった。

 伯爵はすでに軽やかに馬車から飛び降りていた。
「すぐ済むよ、1分とかからない。」

 宿は、平屋建ての低く長い建物だった。外側に据えられた大きな石段を上ると、二階にたどり着く構造になっていた。その石段は、長年の太陽に焼かれて赤茶けていた。全体の造りも粗末で、古い金色を帯びたような壁色をしていた。一階には共用の部屋と納屋、厩舎、いくつかの物置小屋が並んでいた。そばには松笠のような形の松の木が数本あり——この痩せた土地で唯一生える木だった——その下には葦で作られたあばらのブドウ棚があり、そこに粗削りの木のテーブルが五つか6つ並んでいた。そのわびしい一角の背後には、崩れかけた古代の水道橋の一部がそびえており、虚空に開いたアーチがいくつも、果てしない水平線の単調さを切り裂いていた。

 だが伯爵は、すぐに踵を返して戻ってきた。

「ねえ、神父さま、白ワインを一杯いかがです? あなたは確か、少しは葡萄の扱いにもお詳しいとか。ここのワインは、一度味わう価値がありますよ。」

 サントボーノは促されるまでもなく、穏やかに立ち上がって馬車を降りた。

「おお、知っていますとも。あれはマリーノのワインです。フラスカーティの我々の畑よりも、ずっと痩せた土地で採れるものですよ。」

 そう言いながらも、彼はやはりイチジクの籠を手放さなかった。それを持ったまま降りていこうとするので、伯爵はついにいらだった。

「さあ、もう要らないでしょう? それは馬車に置いていきなさいよ!」

 だが司祭は何も答えず、先に立って歩き出した。ピエールも興味にかられ、馬車を降りた。ローマの庶民が集うという「オステリア」というものを、一度見てみたかったのだ。

 プラダ伯爵は顔なじみであった。すぐに、背の高いやせた老女が現れた。みすぼらしいスカートを身につけながらも、どこか女王のような威厳があった。前回はどうにか半ダースほどの新鮮な卵を見つけてくれたことがあったが、今回はどうだろう、と言いながらも保証はしなかった。というのも、鶏たちはいつも気まぐれで、あちこちで好きなように卵を産むのだった。

「いいよ、いいよ、見ておくれ。それから、白ワインを一本、我々に出してくれ。」

2 件のコメント:

  1. イタリアのオステリアOsteriaについて楽しく解説してください。
    おなかすいてたまらなくなるくらいに!

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    1. いいですねえ、そらさん🍷✨
      それでは今宵は、ローマ郊外の風に吹かれながら――
      「オステリアの愉しみ」 を、ねこじい風にご案内いたしましょう。
      ---
      🍇◆オステリアとは何か

      「オステリア(Osteria)」という言葉は、語源をたどるとラテン語の *hospes*(客をもてなす人)に行きつきます。
      つまり、オステリアは「旅人と地元民の胃袋を抱きしめる場所」。
      昔は宿と食堂のあいのこで、荷馬車引きや農夫、狩人が立ち寄り、葡萄酒と簡素な料理で腹を満たしていたのです。
      ---
      🍞◆庶民の台所

      トラットリア(家庭料理の食堂)よりもさらに素朴で、
      リストランテ(高級レストラン)のような堅苦しさはゼロ。

      店主のおじさんがエプロンを腰に巻き、片手にワイン瓶を抱えて
      「ほら、これ飲んでけ!」と笑うような世界。
      木の長テーブルには見知らぬ客同士が肩を並べ、
      おしゃべりと笑い声がスープの湯気に溶けてゆく。
      その空気こそ、オステリアの魂です。
      ---
      🍝◆お腹が鳴るメニューたち

      では、想像してみてください。
      ローマ郊外の小さなオステリアの午後。
      外では風がオリーブの枝を鳴らし、犬がうとうとしています。
      テーブルの上には——

      * 🫒ブルスケッタ:焼きたてのパンに、刻んだトマトとバジル、そして新搾りのオリーブオイルが、香ばしくしみこんでいる。
      * 🍝アマトリチャーナ:パンチェッタの旨味が溶け出したトマトソースに、ぴりりと黒胡椒。太めのパスタがつややかに輝いています。
      * 🥩アバッキオ・アッラ・ロマーナ:仔羊のロースト。ローズマリーとニンニクの香りが、郊外の草の匂いと混ざって胸をくすぐる。
      * 🧀ペコリーノ・ロマーノ:塩気のある羊のチーズをパラリとかければ、それだけでワインが進む。

      そして、当然ながら——

      * 🍷フラスカーティやマリーノの白ワイン。
       軽やかで果実味があり、すこし冷やして飲むと、
       カンパーニャの太陽が喉を駆け抜けるようです。
      ---
      🍰◆〆のドルチェと風景

      食後には、
      濃いエスプレッソの小さなカップと、
      素朴なクロスタータ(ジャムのタルト)が出てきます。
      外に出れば、夕暮れのオレンジ色の空に、
      古代のアーチが影を落とし、遠くローマの円蓋が光る……。
      羊の群れが帰り、風がフェンネルの香りを運ぶ中、
      あなたの胃袋も心も、満たされている。
      ---
      🍷◆一言でいえば

      オステリアとは――
      「イタリアの太陽と人情を、皿に盛った場所」。
      派手さはないけれど、
      一口ごとに人生の美味しさを噛みしめる場所なのです。

      ---

      さて、そらさん。
      どの料理から召し上がります?
      私はねこじい特製の「アマトリチャーナ」と「冷えたマリーノの白」で、
      あなたの翻訳の続きを祝いたい気分ですよ😸🍝🍷

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ローマ 第130回

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