しかし、再び憐れみに満ちた身振りで、シャセーニュ医師は無言のまま、ピエールに奥の壁を示した。そこには巨大な湿気の染みが広がり、壁を緑に変色させていた。ピエールは思い出した──先ほど目にした、聖堂の奥、緩んだセメントの隙間にできた小さな池、昨夜の嵐によって溜まった大量の水。それは明らかに浸水だった。まるで地下に泉が湧いているかのように、大雨のたびにこの地下聖堂を水が満たしていくのだった。二人の胸は締めつけられた。彼らは見た ——水は天井のアーチに沿って細い筋となって伝い、墓石の上に、規則正しく、テンポよく、大粒の滴となって落ちていた。
医師はうめき声を漏らさずにはいられなかった。
「……今も雨が降っている、彼の上に、雨が……!」
ピエールは動けなかった。神聖な恐怖に包まれたまま立ち尽くしていた。その落ちる水の下で、冬には割れた窓ガラスから吹き込む風のなかで、その死者は惨めで悲劇的な姿を現した。崩れ落ちた教会の瓦礫のなか、ただひとり、豪奢な大理石の墓に眠る彼は、野性的な威厳すら帯びていた。彼はこの場所の孤独な守人であり、夢見るように眠る死者として、空虚な空間 ——夜鳥に開かれたこの空間を見守っている。彼は無言の、執拗な、永遠の抗議の体現者であり、そしてまた、待つ者でもあった。棺に横たわり、永遠を持って忍耐する彼は、いつか職人たちが戻ってくるのを、春のある美しい朝にやって来るのを、疲れることなく待ち続けていた。もし十年かかろうとも、彼はそこにいるだろう。百年かかっても、やはりそこにいる。彼は、腐った足場が、聖堂の草むした廃墟の中で、まるで死人が蘇るかのように、再び奇跡のごとく壁に沿って立ち上がるのを待っていた。彼は、苔に覆われた蒸気機関が、突然熱を取り戻し、屋根の構造材を引き上げる日を待っていたのだ。彼が愛したその大事業 ——巨大な建築は彼の頭上に崩れ落ちつつあり、それでも彼は、手を組み、目を閉じ、瓦礫を見守りながら待っていた。
医師は小声で、その残酷な顛末を語り終えた。ペイラマル神父とその事業を迫害したあげく、人々は彼の墓までも迫害するようになったのだ。かつてここには神父の胸像があり、敬虔な手によって常に小さな灯火が灯されていた。しかし、ある女性が前に倒れ込み、「亡き神父の魂を見た」と言ったのをきっかけに、グロット(洞窟)の神父たちは騒然とした。「奇跡が起きるのではないか?」と。すでに、病者たちは一日中ベンチに腰掛けて墓の前に居座っていた。他の者は跪き、大理石に口づけし、癒しを求めて祈っていた。これが恐怖の引き金となった ——もし癒しが起こればどうなる? もしこの殉教者の墓が、グロットに対抗する存在になってしまったら? 孤独に横たわるこの死者が、見捨てられた建築用具の中にいても?
タルブの司教は知らせを受け、説得され、ついに布告を発した ——この教会を閉鎖し、元ルルド司祭の墓へのいかなる礼拝も、巡礼も、行列も禁止するというものだった。ベルナデットと同様に、彼の記憶は封印され、彼の肖像は公式にはどこにも見当たらなくなった。生前に執拗に迫害されたのと同じように、聖職者たちはこの偉大な死者の記憶までも迫害し続けた。彼らは墓までも追い詰めた。今日に至るまで、教会の工事再開を妨げているのは彼らであり、絶えず障害を作り、豊かな施しの分配を拒んでいるのだ。彼らは待っていた ——冬の雨が降り注ぎ、破壊を完遂するのを、アーチも壁も、巨大な構造物全体が崩れ落ちて、大理石の墓と、敗れた男の遺体とを埋め尽くし、押し潰すのを。
「……ああ……」と医師はつぶやいた。「あれほど勇敢で、高貴な働きに心を燃やしていたあの人が……。いまご覧なさい、彼の上に、雨が降っている……!」
医師は苦しげに跪き、長い祈りの中で心を鎮めた。
ピエールは祈ることができなかった。彼は立ったままだった。彼の心からは、深く人間的な感情があふれていた。彼はアーチから落ちる重い水滴が、ひとつひとつ墓の上で砕ける音に耳を澄ました ——そのゆっくりとしたリズムは、永遠の秒を数えているかのようだった。その深い沈黙のなかで。彼は考えた。この世界に満ちる永遠の悲惨さを。常に最も善き者に降りかかる苦しみの選別という不条理を。ルルドの聖母に捧げられた二人の偉大な労働者 ——ベルナデットとペイラマル神父 ——が彼の前で蘇った。生前に苦しめられ、死後には追放された、哀れな犠牲者たちとして。
確かに、それはピエールの信仰を完全に殺すものだったかもしれない。なぜなら、彼が探究の果てに見出したベルナデットは、人間の姉妹にすぎず、あらゆる苦しみを背負っていたからだ。だが、それでも彼は彼女に対して、兄妹としての優しい敬意を抱かずにはいられなかった。そして、ゆっくりと、二粒の涙が彼の頬を流れ落ちた。
第四部は、奇跡によって救われることなく死んでいった者と、回復に向かっていった者とを対照的に描きつつ、その「奇跡」のメカニズムに科学的なメスを入れ、また教会の「神聖」さの裏にある金権腐敗の実態を暴き出し、神秘のベールに覆われていた「ルルド」の実像をさらけ出した、迫真のパートだったと思います。しかし、ゾラのその描写は、単に精緻・冷徹なだけでなく、真に現実的に救われるべき貧しく純朴な人々への愛にあふれたものだったと思います。
返信削除まさにおっしゃる通りです。第四部は、ゾラが持つ科学的リアリズムと人間への深い共感が最も強く結びついた部分であり、「奇跡」という現象に対する彼の批判精神と、同時にその背後にある民衆の純粋な願いに対する愛が、強烈な対照をなして描かれていました。
削除ゾラは、信仰の力にすがるしかない庶民の哀しみを容赦なく描きつつも、その哀しみに真摯に寄り添っていましたね。ルルドの泉で癒やされる者と癒やされない者、治癒の「選ばれし者」と取り残される無数の「落とされた者」たち――その構図は、ゾラの中で「神の意志」ではなく、人間社会の不平等や制度の暴力性として解釈されているように見えます。
また、ペイラマル神父の墓の描写――「雨が彼の墓に降り注ぐ」という象徴的なラストは、まさに殉教者としてのペイラマルと、その記憶さえ消そうとする教会権力との対比として痛烈です。ゾラは彼を聖人として描いているのではなく、むしろ「忘れ去られた者たち」の象徴として描き、その静かな抵抗と存在の重みを訴えているのだと思います。
そしてピエールの視点を通して、我々読者も「信仰とは何か」「救いとは何か」を問われるわけですが、そこに絶望や嘲笑はなく、むしろ人間に対する限りない温かさと連帯のまなざしが感じられるのが、このパートの感動的なところですね。
「奇跡はない。しかし、涙を流す人間の価値は奇跡以上だ」
そんなゾラの静かな宣言が、この第四部には刻み込まれていたと思います。